ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 – 永遠と自動手記人形 –

 9/18の劇場版の公開に合わせて、昨年期間限定で公開された外伝がNetflixで配信開始。本編のアフターストーリーで、戦災孤児の少女エイミーとまだ幼いテイラーの二人が姉妹として生きていこうとするもののその生活は苦しく長くは続かず、エイミーはテイラーのためにその名前を捨てて貴族の実父に迎えられ、そしてテイラーは生活を約束されて孤児院へ行くことに。そしてイザベラ・ヨークとなった少女は教育係として派遣されたヴァイオレット・エヴァーガーデンと出会う──、という前半。そしてその3年後、テイラーは孤児院を抜け出してヴァイオレットとエイミーからの手紙を頼りにC.H郵便社を訪れる──、という後半からなる二部構成。

 この構成が素晴らしく、エイミーとテイラーが互いを想い互いに手紙を書く、というストーリーを対比させて一つの物語が完成するのは見事としか。柔らかい檻のような学校での生活がテイラーとの厳しくとも暖かな生活を否応なく思い出すイザベラ。新しい環境の中でエイミーに優しくされた記憶がだんだんおぼろげになってきたテイラー。嫁いだ先で隠されたようにひっそり生きるイザベラ。孤児院を飛び出し、郵便配達人を夢見るテイラー。その二人の想いを受け、手紙でつないでいくのがヴァイオレットであり、後半はベネディクトの役目。ストーリー自体は手紙で互いの想いを確かめるところまでで直接出会うことなく終わるものの、それが二人の物語はまだ途中という未来への希望のある終わりが、余韻をより感じさせる素晴らしい作品になっているかと。