amphibian / 中山敦支「こっくりマジョ裁判」

「ねじまきカギュー」「うらたろう」の中山敦支の最新作その2。元KEMCOのシナリオライターamphibianを原作に迎えての少女たちによるデスゲームもの。それぞれの生活の中で突然一室に集められた少女6人、彼女たちが囲む一つの机の上にはコックリさんの紙とコイン。部屋には名前の書かれた黒板と首を吊られたの魔女の姿。コインから指を離すことはできず、それぞれの手持ちの3枚のカードの意味は一体──。

 全体としては生き残りをかけたデスゲームではあるものの、ストーリーの大半は何も分からない状態からの現状とルール把握に費やされるためにミステリー要素もそれなりにあり、そこに個々の駆け引きというギャンブル要素も含むというなかなかの詰め込みっぷり。このゲームのルール探しがほとんどメインのようなもので、ルールを把握し、その穴を探し、駆け引きに使う、というのはカイジあたりと通じるものがある。机一つの上だけで行われる少女たちの争いが全1巻で駆け抜けていくスピード感は素晴らしく、ダラダラやるよりはこのくらいさっくりとまとめて後はご自由にってくらいが丁度いい。まあ勢いが良すぎて置いてけぼりにされているところはちょっとあるけど、巻末に付け足しで一応の補完はされていてそれがいいかどうかは人によりけりか。

中山敦支「スーサイドガール」1巻

「ねじまきカギュー」「うらたろう」の中山敦支の最新作その1。自分の生を終わらせるために他人を自殺から救うことになった少女、青木ヶ原星(きらり)。人に取り憑き自殺へと追い込む悪魔「フォビア」と戦うため、きらりはマジカル首吊りロープで自殺装束装着(スーサイドレスアップ)してスーサイドガール首吊少女(ハングドガール)に変身する! という魔法少女アクション。

「魔法少女」という最近では目新しくもなくなった題材をどう料理してくるかと思ったら、主人公はポジティブな自殺志願者で自殺道具でフリフリの魔法少女に変身し、さらに必殺技はその道具に準じた技だったりと、設定だけなら色物でしかないのにそれを超えてくるストーリーの勢いとアクションの大見得の切りっぷりはさすがの一言。愚直なほどにまっすぐで、目的のためなら自分はどれだけボロボロになっても構わないというのは中山敦支作品の主人公の系譜であり、そこに各キャラクターの生死感をストーリーに絡ませてくるのもまた変わらない作風かと。

 1巻の終盤で二人目のスーサイドガール手首切少女(リスカガール)が登場し、現在彼女のエピソードは連載中なので、予定されているだろう3人のスーサイドガールが揃うのはもうちょっと後になりそう。これからが期待できそうなだけに、掲載がウルトラジャンプなのでさすがに短期打ち切りはないと思いたい。