久保帯人「BLEACH」死神代行消失篇、千年血戦篇

 無料公開分から先の49巻から最終巻までの死神代行消失篇、千年血戦篇を蔦屋で借りてきて読了。破面編の中盤あたりからその気配はあったけど、ジャンプの長期連載にありがちな際限のないインフレと膨大なキャラクターを完全に持て余していて、面白さよりも粗の方が目立って残念なことに。ストーリーの緻密さはそこまで求めてないけど、さすがにここらへんがライブ感覚の限界か。それでもキャラクター造形はさすがで、敵方にもいいキャラクターは多い。ただそれを活かしきったかというと疑問ではあるけど。まあ細かいところを気にしないで、瞬間の連続を楽しむにはいいマンガだったかと。

久保帯人「BLEACH」

「BLEACH」20周年記念企画の一つとしてジャンプ+で1巻から48巻の破面篇完結までを無料で公開中。

 マンガは以前10巻くらいまでを単行本で、それ以降を誌面で読んでいたけどきちんとまとめて読むのはこれが初めて。改めて読むとジャンプらしいバトル&バトル、後付&後付、インフレ&インフレでその時面白ければいいんだよ!のライブ感がすごい。そしてそれが面白い。オサレ師匠と呼ばれてネタ扱いされてるけど、ネタにされるだけの面白さがあった。キャラクター造形とそれを活かす設定とビジュアルに関しては一流かと。そりゃ人気も出るし売れるわけだと納得。ここまで読んだら以降の死神代行消失篇、千年血戦篇も気になるところなので蔦屋あたりで借りてこよう。

 無料公開は4/5まで。

猪ノ谷言葉「ランウェイで笑って」

 今期放送開始したアニメの原作マンガ。週刊少年マガジンでファッションを題材にやってることは知っていたけど、きちんと読んだことがなかったのでマガジンポケットで探したらアニメに合わせてか、22話まで無料公開中だった(単行本3巻分くらい?)。なおamazon Kindleでは単行本2巻まで無料。

 環境に恵まれてファッションモデル志望ながらも低身長という絶対の壁に立たされている少女千雪と、家庭環境の問題で業界への進路を諦めかけている少年育人が出会ったことにより、物語が始まるというダブル主人公という構造で、ストーリーがそれぞれの視点で進み、時には交差してと割と難易度の高いことやってるなあという印象。著者名で検索しても他の作品が出てこないということはこれがデビュー作か。マジか。

 ファッションとモデルという題材を少年誌でどう扱うのかと思ったら、ファッションや業界の薀蓄はほどほどに、音楽マンガや料理マンガに近いハッタリが効いていて思っていた以上に面白い。音楽、料理を題材にしてもまずは学校などのアマチュアの舞台を用意しそうなものだけど、この作品では駆け出しとほぼ素人の二人がそれぞれのプロの世界に放り込まれて結果を否応なく求められる、という緊張感があるのがいい。同年代のライバルとかすぐに出してきそうなものだけど、徹底して排除している感じもある。この先は知らんけど。

 たぶん業界の人間が読めばそれなりに突っ込み所はあると思われるだろうけど、業界の人間でもないし面白いのでよしとする。現在13巻まで出ているようなので、近い内にまとめて読みたい。

みやびあきの「もなかとわたあめ」アフター

 先日twitterで公開されたボーイミーツギャル読切のアフターエピソード(ただしラフ)。ショートストーリーながらもちょっと進んだ二人の関係とさらにその先を期待させてくれる。和装女装の友達関係から一体どう展開するのか。きららフォワードが変わらずラブコメ押しなら連載枠が取れそうなものなんだけど、現状を見るとないだろうなあ。まあどちらにしろ「珈琲をしづかに」との並行は厳しいらしいので、個人の同人誌での展開に期待か。

三田誠「ロード・エルメロイII世の事件簿」

 アニメ版放送と平行しながら角川文庫版で「case.剥離城アドラ」「case.双貌塔イゼルマ<上・下>」「case.魔眼蒐集列車<上・下>」「case.アトラスの契約<上・下>」まで読了。

 TYPE-MOON原作の「Fate/stay night」の公式二次創作「Fate/Zero」のさらに二次創作とややこしいことになってて、他の作品からも関わりがあったりするけど、元を知らないよりは知っていればより楽しめるくらいには独立してるので必修ではないかと。最低「Fate/Zero」だけ押さえておけば問題なし。

 内容はまるで魔術師たちによる本格ミステリーといった導入と流れではあるけれど、その実最近主流のミステリー風キャラクター文芸(+ちょい伝奇)なので、本格ミステリーは期待しない方が賢明。まあ作中でも「どうやってやったか」は考えるだけ無駄って言い切ってるくらい。物語としては「なぜやったか」に比重を置いていて、キャラクターたちのドラマを楽しめる人向け。あと征服王の背中を追うウェイバーきゅんの成長を見たい人には問題なくおすすめできる。だいぶやさぐれてるけど。

 アニメ版は前半は原作の間を埋めるエピソード、後半で「魔眼蒐集列車」(アニメ用に大小の変更あり)という構成なので、アニメだけでも普通に楽しめるけど、やはり原作小説と合わせて楽しむのが正解かと。あと梶浦BGMはやはり素晴らしい。

 完結エピソード「case.冠位決議<上・中・下>」の文庫版は近刊の予定には見当たらず。まあ年内か年末くらいには出そう。

曽田正人「Change!」6巻(完)

 月初めの月マガ最終話から月をまたがずコミック最終6巻が発売。どうせ地方での入荷は遅れるし特典もあったので先に電子版で購入。現物は別途購入。

 6巻は高ラ予選2戦目がK-fisch VS 金蛇からスタートしてMCしおりんVSトインビー戦で盛り上がってさあここからというところで締め。メインの活躍はもちろんのこと、それらに正面からぶつかって引き立てる金蛇たち脇役の存在感の出し方が本当に上手い。NARDIといいコンプレックス持ちの熱量とぶつけ方がすごいなあれ。曽田作品全般にいえることだけど、主人公の周りに人が集まってからがどんどん面白くなってくるんだけど、今作は残念ながらここまでということで。曽田正人の描く大人たちはいいキャラが多いだけにオーボエ、外道斬はもちろんしおり父にも活躍の場があったと思うとやはりもったいない。

 マンガ・アニメコンテンツ界隈ではヒプノシスマイクが絶好調でHIPHOP、ラップバトル、楽曲を提供するアーティストにも注目が集まってきていたし、ラップバトルのマンガとしてこれからも存在感をアピールするチャンスはあったはずだけにここで終了を決めたのは惜しい。先があれば劇中楽曲のコンセプトアルバムや作品イメージアルバムなんかが出たら面白いだろうなあとは思っていただけにぐぬぬである。残念だけどさすがに掲載誌を改めて再開はないだろうから、次の新作に期待しておこう。

TVアニメ「映像研には手を出すな!」PV 第3弾

 個人的に期待している大童澄瞳原作のTVアニメ「映像研には手を出すな!」のPV第3弾にして主役三人の声と主題歌が聞けるわけだけど、声の違和感がなさすぎてすごい。主題歌もがっつりハマってる。映像もあの原作絵の雰囲気を全く壊すことなくアニメになっててこれは期待できる。

曽田正人「Change!」が最終回

 作者と公式のツイッターから突然の最終回が告知されたので月マガを読んできたけど、週刊誌のような見事な打ち切りだった。曽田正人作品はずっと読んできてるけど、ここまでの打ち切りは初めて見た気がする。

 お嬢様がラップバトルに出会ってその魅力にハマっていき、色んな人たちと出会い成長していくという、題材は珍しいけど基本は少年マンガで十分に面白かったかと。ただ題材的に他の音楽マンガと違ってリリックが出てくるので、この辺の受け入れが難しかったかなと思わなくもない。実際自分は晋平太によるMC再現が出てくるまでだいぶイメージが違ってた。

 あとスタートダッシュが遅かったとも思う。1巻は二人の出会いのプロローグ、2巻で初バトル(実際には3巻冒頭まで)とまとめて読む分にはまだいいけど、連載だとなかなかメインであるラップバトルまでいかないのが難点だったかと。高ラ予選に入ると毎回バトルで相対する人間模様も毎回面白かったんだけど、さすがにもうその頃には状況をひっくり返すには難しかったっぽい。

 ツイッターでの宣伝や、晋平太によるMC再現、楽曲解説、電子版でタイトル変更とか色々やっていて、ファンもつきはじめていた感はあっただけに、打ち切りは残念。月マガだしもう少し余裕はありそうと思っていたけど、こうなるとアンケートも単行本売上も想定以上に悪かったんだろうなあ。ヒプマイ効果でHIPHOP、ラップバトルが注目されてきているこの段階での撤退は早かったと思うんだけどさて。

 なお現在応援感謝でマガポケで22話まで無料公開中。

みやびあきの「もなかとわたあめ」

 twitterのTLに流れてきたボーイミーツギャルその2。昨年ウルトラジャンプに掲載された読切作品。 みやびあきのさんはきららフォワードで知っているので、 この読切のために久しぶりにウルトラジャンプを買ったし、作品もよかったし、そのままへ移動するのかと思ったらそんなこともなかったという。

 ストーリーは着物女装男子がギャルが出会って、というよりもギャルが着物女装男子と出会って、和装の魅力に気づくお話。一見控えめな男子高校生は着物をきるとハキハキと、一方ヒロインの方は見た目とは意外に優柔不断で、というギャップと二人の掛け合いの見せ方が上手い。やわらかくゆるやかな作風で派手さはそこまでないものの、好きな人には刺さるんじゃないかと。あと女装男子とか和装とか女装男子とか。

 作風からどうしてもインパクトに弱いところがあって、そのせいか残念ながら連載には至らなかったけど、続きはどこかでシリーズ連載か同人誌でもいいので読みたい作品。

 しかしまあ雑誌掲載時とtwitter公開の反応の差がすごい。雑誌の時でも反応は良かったらしいけど、WEBで数字が見えるのは大きい。掲載当時にWEBでも並行して掲載できていればまた違った結果が出てたのかも。

福田晋一「その着せ替え人形(ビスクドール)は恋をする」

 twitterのTLに流れてきたボーイミーツギャルその1。流れてきた時はまたギャル物かと思ったけど、絵柄がやたらに少女漫画したたのでなんとなく読んだらほんとに少女漫画してた。でも掲載はヤングガンガン。男性名だけど女性らしい。

 人形趣味 (語弊) の男子高校生とコスプレしたいギャルが出会ったしまったので、成り行きで一緒にコスプレ衣装作ることに、というオーソドックスな流れの1話を締めるオチが秀逸すぎてkindleで即ポチるくらいには勢いがあった。あれはずるい。

 掲載誌の傾向からちょいエロはあったり、コスプレや元ネタ的に色物感はあるけど、根っこはテンポのいいラブコメなのですごい読みやすい。そこに引き気味系主人公と押し押しギャルのテンションと価値観の差のギャップ、同級生から見たら格差のカップルで、一般から見たらほほえましいカップルだけど、その言動はなんかおかしいというギャップのネタを被せてきてそこもまたいい具合にコメディになってる。周囲の人物はそれなりにいるけど、実際に動くのは絞ってあって、1巻ではほぼ主人公とヒロインの二人だけで話が進むのも読みやすい一因か。

 どうせ巷に溢れるギャル物とばかりとあなどったら返り討ちで面白かったので、2巻以降も随時購入していく予定。