曽田正人「め組の大吾 救国のオレンジ」

 曽田正人待望の新作「め組の大吾 救国のオレンジ」が月マガで連載開始。今作の新たな大吾となる十朱大吾、そして斧田駿と中村雪の三人の消防士が特別救助技術研修で出会い、同じ小隊を組み、それぞれの思いを持って訓練に挑む──、というところからスタート。

 前作「Change!」では導入をじっくりやりすぎた反省と反動もあってか、今作では新人期間やレスキュー試験などをすっ飛ばしての救助技術訓練の中盤から佳境を大増ページで一気に見せる勢いのよさ。そしてそれを一気に読ませる力量と熱量の高さはさすがといったところ。1話のスタートダッシュは早いものの、主役三人のキャラはまだ軽く見せてる程度なので、これからの掘り下げに期待。1話だけだと駿が語り部役のように見えるし、女性消防士として雪を入れてくるあたりその辺の話もがっつりやりそう。そして旧作から甘粕がさっそく登場し、これからどう物語に関わっていくのか楽しみでしかない。

 連載はマガポケでも読めて1話の半分までが無料。またサンデーうぇぶりでは旧作の10巻分が期間限定で無料とのこと。

曽田正人「Change!」が最終回

 作者と公式のツイッターから突然の最終回が告知されたので月マガを読んできたけど、週刊誌のような見事な打ち切りだった。曽田正人作品はずっと読んできてるけど、ここまでの打ち切りは初めて見た気がする。

 お嬢様がラップバトルに出会ってその魅力にハマっていき、色んな人たちと出会い成長していくという、題材は珍しいけど基本は少年マンガで十分に面白かったかと。ただ題材的に他の音楽マンガと違ってリリックが出てくるので、この辺の受け入れが難しかったかなと思わなくもない。実際自分は晋平太によるMC再現が出てくるまでだいぶイメージが違ってた。

 あとスタートダッシュが遅かったとも思う。1巻は二人の出会いのプロローグ、2巻で初バトル(実際には3巻冒頭まで)とまとめて読む分にはまだいいけど、連載だとなかなかメインであるラップバトルまでいかないのが難点だったかと。高ラ予選に入ると毎回バトルで相対する人間模様も毎回面白かったんだけど、さすがにもうその頃には状況をひっくり返すには難しかったっぽい。

 ツイッターでの宣伝や、晋平太によるMC再現、楽曲解説、電子版でタイトル変更とか色々やっていて、ファンもつきはじめていた感はあっただけに、打ち切りは残念。月マガだしもう少し余裕はありそうと思っていたけど、こうなるとアンケートも単行本売上も想定以上に悪かったんだろうなあ。ヒプマイ効果でHIPHOP、ラップバトルが注目されてきているこの段階での撤退は早かったと思うんだけどさて。

 なお現在応援感謝でマガポケで22話まで無料公開中。