三田誠「ロード・エルメロイII世の事件簿」

 アニメ版放送と平行しながら角川文庫版で「case.剥離城アドラ」「case.双貌塔イゼルマ<上・下>」「case.魔眼蒐集列車<上・下>」「case.アトラスの契約<上・下>」まで読了。

 TYPE-MOON原作の「Fate/stay night」の公式二次創作「Fate/Zero」のさらに二次創作とややこしいことになってて、他の作品からも関わりがあったりするけど、元を知らないよりは知っていればより楽しめるくらいには独立してるので必修ではないかと。最低「Fate/Zero」だけ押さえておけば問題なし。

 内容はまるで魔術師たちによる本格ミステリーといった導入と流れではあるけれど、その実最近主流のミステリー風キャラクター文芸(+ちょい伝奇)なので、本格ミステリーは期待しない方が賢明。まあ作中でも「どうやってやったか」は考えるだけ無駄って言い切ってるくらい。物語としては「なぜやったか」に比重を置いていて、キャラクターたちのドラマを楽しめる人向け。あと征服王の背中を追うウェイバーきゅんの成長を見たい人には問題なくおすすめできる。だいぶやさぐれてるけど。

 アニメ版は前半は原作の間を埋めるエピソード、後半で「魔眼蒐集列車」(アニメ用に大小の変更あり)という構成なので、アニメだけでも普通に楽しめるけど、やはり原作小説と合わせて楽しむのが正解かと。あと梶浦BGMはやはり素晴らしい。

 完結エピソード「case.冠位決議<上・中・下>」の文庫版は近刊の予定には見当たらず。まあ年内か年末くらいには出そう。