小松左京のベストセラーSF小説「日本沈没」を原作として、「ピンポン THE ANIMATION」「映像研には手を出すな!」を監督した湯浅政明―が新たに「日本沈没2020」としてNetflixオリジナルアニメでついに公開! されたわけですが、まあなんというか思っていた以上に「なんだこれ」という迷作に仕上がってきていて、とにかく最初から最後まで突っ込みどころが満載で結果としてはギャグアニメとして見るとそれなりに楽しめる作品になってます。はい。
個人的には「DEVILMAN crybaby」の原作の徹底した分解と再構成には正直にすごいと思い、「映像研」の味付けにも大いに楽しませてもらっていただけに今回の「日本沈没」のリメイクにも期待していたんですけど、公開されるやいなやSNSに流れてくるのは不評ばかり。これは一体どういうことだ、と慌てて視聴してみたら不評悪評も全部納得の出来ですよ。なんだあれ。
とにかく設定も脚本も何もかもがいきあたりばったりのとってつけたようなその場のノリの連続で、週刊連載の少年マンガでもこうはならんだろ、と思うくらいには瞬間の連続の繰り返しで話が進む進む。湯浅監督作品はどれも「着いてこれるヤツだけ着いてこい」というスタンスがあるけど、これに着いていけるのは相当に選ばれし猛者かと。
そんなストーリーに沿って突っ込んでいくと本当にキリがないので、個人的面白ポイントをピックアップ。
- パパン山芋掘りで爆発四散!サヨナラ!
- あ、これ
進研ゼミDr.STONEでやったところだ! - スーパーウルトラミラクルパーフェクトワンダフルユーチューバーKITE(LGBT対応済)
- 大麻カレーはママの味
- ドラッグパーティで脱引きこもり
- SR車椅子のアーチャー
- 日の丸国粋主義者炎上沈没
- ママは昔水泳選手だったのよ!(フラグ
- ラップバトルは突然に
- 秘密基地は山の中が基本だよね
- 先輩「ここは俺の出番だな!」(フラグ
- こんなこともあろうかと(フラグ
- 沈没したけど浮上してきた
とまあ頭のおかしい展開(これでもまだほんの一部)が最初から最後まで続くわけですよ。真面目に見たら長男でも耐えきれないレベル。マジで。山芋掘りでギャグアニメにカテゴライズしたことを察してほしい。
まあなんだかんだ言っても作品として一番ダメと思われるのが、ジャンルとして原作のSFからも遠く離れて、ヒューマン、ファミリー、パニック、サバイバル、アクションのどれも少しずつ齧るだけできっちり当てはまらない中途半端な出来が本当にダメなのではないかと。せめて全体を通して主人公の成長物語にでもなっていれば多少の救いはあったのだけれど欠片もそんなこともなく。これは本当に誰の何の物語だったのだろうか。実際には伝えたいことやりたいことはあったのかもしれないけど、全く伝わってこないトンデモ作品に仕上がっているので、ネタとして見る分には楽しめるのではないかと。